瀬戸翔吾 Shogo Seto
Tenor
私の本業は「科学館で来館者との対話を通じて科学のあり方を考える仕事」です。なぜそんな私がこのAcappelLaboにいるのでしょうか。 私が科学館で来館者と対話する際によく話題に上がるのが、「AIは人間に置き換わるのか」というテーマ。確かに最近では、文章を作るAIや絵を描くAIなど、AIにできることが増えてきました。科学館の職員としてこれについて想いを巡らせるうちに、音楽家としてもある疑問が浮かびました。 「自動音声でもアバターでもなく、生身の人間がコンサートホールで生演奏をすることの意味は何だろう?」 まだ答えは出ていませんが、これを考えるキーワードは「人間特有の魅力」だと私は考えます。そしてそれを感じ、探求できる場所こそがアカペラボだったのです。多様なバックグラウンドを持った歌い手が集まったAcappelLaboでは、個々人が人間特有の「声」という楽器の可能性を様々なアプローチで探りながら、「アンサンブル」という対話を重ねて音楽を作っています。このプロセスに私は「人間ならではの魅力」を感じたのです。 私も自分なりのアプローチでアンサンブルや声の可能性を探っています。AcappelLaboでは「女声アンサンブル八重桜」と男声合唱グループの「emulsion」という、声種・ジャンルの全く異なる2グループに所属しています。またその他にも、歌って踊るポップスのアカペラグループやビートボックスにも挑戦しています。 「人間特有の魅力」には答えはないと思います。ですが、声の可能性を探求し続けるAcappelLaboのアンサンブルを聴くと何かヒントが見つかるかもしれません。